第10章 ヤンデレの行動力は侮れない
「それから、ヒロインは?」
「逞しいよ。私といない時に声を掛けているみたいだから。」
「レンジャー系のメンバーはどうなったんだろうね。」
「レンジャー?」
初めて口を挟んだのはアル。戦隊ものの例えなのだけど、私とキャサリンしか分からない言葉だ。なので、説明しておいた。
「正義の味方?・・・アレが?」
ゲーム通りなら、そうなっていたのだと思う。だって、将来的に騎士団長や文官長など権力のある役職に、あのカラフル頭の子息たちは就くのだから。
「それが事実なら、この国は終わりだな。」
しれっと悪態を付くアル。
「青髪キャラはいなくなったけど、オレンジ頭があんな馬鹿な事をしたでしょ?今はどうしているんだろう。」
「そんなの、公爵家を敵に回したのだから、もう社交界では表立って出て来られないと思うわよ。両親共々、文字通りに大激怒だったんだもの。」
王族抜きにすれば、最高権力だものね。
「この国の王族って男子では、あのバカ王子だけでしょ?いい未来が描けないわね。もし、何かあったら私に相談してね。」
「アルと亡命?」
「多分、そうはならないと思う。」
「アル、どういう事?」
「今は詳しいことは言えない。でも、王族とはいえ、一枚岩じゃないってことだ。」
人望のない国王って、どんななのって思わなくもないけど。
「言わなくても大丈夫だとは思いますけど、アルベルト様、フェリシアを守って下さいね。」
「それは言われなくとも。私もただ傍観しているだけの腰抜けじゃないつもりだ。」
「それでこそ、アルベルト様ですよね。」
クラウド皇子を見ているみたいと、言葉が続きそうだ。
キャサリンが帰った後、アルも続いて帰って行った。この後も、少し鍛錬するのだと言う。そう言えば、胸板が少し厚くなっていたなぁって、思い返していた。
アルが優勝したら、私はどんなお祝いをしよう?アルの欲しいものをあげたいなぁ。