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異世界転生したらゲームの悪役令嬢でした

第1章 転生したら悪役令嬢でした


「王子の婚約者になんてなりたくない・・・。」

このフレーズを何度、口にしたか分からない。気付いたら異世界転生したらしい私は、今世の名前を知ってぶっ倒れたらしい。高熱を出し呪文の様に繰り返す言葉は、この国の王子の婚約者になった未来に断罪されるといううわ言。

勿論、当の本人にその事の自覚はない。ただ、それを聞いた今世の家族は、ゲームの世界通りに子に甘い親だったから望み通りにしようと話し合っていたそうだ。

それを聞いたのは、八日目の事だった。

生死を彷徨った私も、嘘の様に八日目には元気を取り戻していた。今世の両親は、諸手を上げて喜んでくれた。前世の両親も大概甘かったけれど、負けていないと思う。

だって・・・開口一番、今世の父親が言った言葉がこれだったから。

「フェリシア(今世の私の名前)のあの言葉は、神様からの啓示なのかもしれない。安心しなさい。フェリシアが望まないのなら、王子の婚約者になる必要などないよ。」
「本当に?」
「勿論だ。私たちの可愛いフェリシアに無体を働く者が、例え王子だとしても許される事ではないからね。」
「ありがとう・・・。」

なんて、感動していた時がありました。だがしかし、そうだがしかしだよ。ゲーム通りに出会いの場は訪れるのだ。王子の誕生会が。

行きたくないけれど、そういう訳にも行かず・・・ただ、私はゲームの内容は前世の友人の影響でそれなりに知識として持っている。

誕生会の中で、一人で綺麗な薔薇の花を見に行った先で王子と出会うストーリー。だから、その場へ行かなければいいと安易に実行した訳で・・・。

では、今世の私が何をしたか。そう、単独行動はしたのだけど、向かった先は豪華絢爛な王城の薔薇園ではなく薬草園だった。薔薇園とは離れた場所にある立地である。

王子は勝手に、私以外の誰かと縁を結んでください。私は御免被りたいので遠慮させて貰います。

「ラベンダー・・・カモミール・・・ミントもある。」

今世の薬草の中に、前世であったハーブを見て少々感動していた。ハーブティーが好きだったから、余計に感慨深いなんて思っていた。

「薬草に詳しいのだな。」

そんな折、人の声が聞こえて体が固まった。えっ、誰?怖くて振り返れない。もし、王子だったら?でも、王子は薔薇園に行くんじゃ?軽く脳内でパニックになる私。
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