第18章 帰国
モーリスは、何とかすると言っていたなぁと思い返していたのだけど・・・何故か、今、私の目の前に王子ことケルヴィンがいる。
ケルヴィンって、こんなだっけ?ニタニタした笑みを浮かべては、私の身体を舐め回す様に見ている。決して、危機感を持たなかった訳ではなかったのだけど・・・。
「綺麗になったな、フェリシア。今から私と通じないか?そうすれば、私は王太子になってフェリシアは王妃になれる。いい話しだと思うだろう?」
これは、自身の保身の為の行動?
「アルの身体って、凄いんですよ?私はもうアルの身体にメロメロなんです。アレだって凄く立派だし、私の全てをいつもアルは隅々まで愛してくれるんです。昨晩だって、アルは私を一晩中離さなかったんですよ?」
あぁ、ケルヴィンが私のあまりにもの露骨な物言いに、口をパクパクさせている。
「アルベルトと通じたのか?」
「婚約者同士ですし、私たちは王族でもないですから問題ないですもの。もう数えきれないくらいアルに愛されてます。私からアルを求める時もあります。」
お坊ちゃんこと、ケルヴィンは灰と化した。
「・・・に、そんなにアルベルトのアレは凄いのか?」
「それは勿論。毎晩の様に幸せな時間を過ごせられてます。アルのじゃないと、満足できないと思います。」
「わ、私のは・・・。」
「あんな立派なアルのものを知った今なら、他のなんて考えられないですね。本当にメロメロなんですぅ。」
ちょっとだけ、馬鹿な子を演じてみた。王子はゲッソリとやつれて、何処かに行ってしまった。
「そんなに私のモノにメロメロになっていたとは、知らなかった。そこまで私の身体が好きなのか。」
「ア、アルっ!!?い、今の・・・。」
「間を割って入ろうとしたら、面白い話しが聞けたからつい聞いてしまっていた。そうか・・・そんなに私の身体が好みならそう言ってくれれば良かったのに。」
今のはケルヴィンを追い払う為の話しだと言いたい。でも、アルが凄く凄く嬉しそうで言えなかった。だって、嘘じゃないから。
そして、あの後のケルヴィン。どうやら、私が綺麗にケルヴィンの心を折ったらしい。大人しく婚約者と親睦を深め、何故か・・・そう、何故か直ぐに婚約者を孕ませてしまった。
どうしてそうしたのか分からないけれど、何故かアルにマウントを取って来たそうだ。