第21章 カチカチ股
墨
「童話"かちかち山のタヌキ"って知らない?」
すっぽり墨くんの腕の中に収まった私を
見下ろしながら墨くんは変なことを聞いてきました。
「かちかち山?
…確か…意地の悪いタヌキが
親切なお婆ちゃんを殺しちゃって
悲しみに暮れていたお爺さんを
見かねた仲のいい兎が
お婆さんの仇をうったって話だよね?」
墨
「そうそうそんなカンジー。
で、そのタヌキが仇をうたれた場所ってのが
ここなんだよね。」
墨くんは
漆黒の瞳で燃え盛る焼却炉を見つめています。
「え?ここ??
まさかそんなことないよー
だってカチカチ山って
すっごく昔の話だから焼却炉なんて
きっと無かったよ?」
(ん……あれ??
墨くん……なんか臭う……)
そこまで話すと墨くんの身体から
あのタヌキさんと一緒の
野獣臭さが漂ってくるのに気付いたのです。
「(。・ω・。)」
(墨くん、こんなに野獣臭かったかな……
んぅ……そんなことは……)
1つ違和感に気付くと
次々と違和感に気づきはじめました。
墨
「あっ……跡地!跡地タヌゥ!!」
「タヌゥ!?」
"バッ!!"
(タヌキ野朗だったわ!)
私は"愛しい姿をした"タヌキの胸元から
離れました。