第2章 秘め事
……「——秘め事とはな」
低く落ち着いた声で、光秀さんは続ける。
「大きいか小さいかではない。誰にも見せないまま、胸の奥にしまっているかどうかだ」
光秀さんの瞳が、私を捉えたまま動かない。
……視線が、逸らせない。
「今朝の金平糖も——」
ほんの一瞬、光秀さんの唇の端が緩む。
「俺に話した時点で、もう秘密ではないな」
そう言って、手を離した。
急に距離ができて、少しだけ寂しくなる。
「……では、私に秘密はありません」
そう言うと、光秀さんは一歩近づき、私の耳元で囁いた。
「いや」
息がかかり、光秀さんからは良い香りがした。
「“可愛い自分”を、まだ自覚していない」
からかうようでいて、甘い声。
大人の色気を感じてクラクラした。
「それを知っているのは……今のところ、俺だけだ」
そう言って、何事もなかったように背を向ける。
残された私は、胸のあたりがじんわりと熱いまま動けない。
——秘密が増えたのは、
どう考えても、私の方だった。