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イケメン戦国《私だけを囲うひと》

第7章 戯れの口づけ



不意打ちだった。

一瞬、顎を掬われ上を見上げた時に唇が降ってきた。
冷たい。
そう思ったのが先で、口付けをされていると気づいたのが後だった。

「…すまぬ。可愛くてつい、な」

うっすらと笑う。

その瞬間、自分以外の人にもしているのかもしれない。
そう思った。

胸の奥が、ひどくざわついた。

「……そういうこと、」

思わず口を開く。

「他の人にもしているんですか」

自分でも驚くくらい、拗ねた声だった。

光秀さんは一瞬だけ目を細める。
けれどすぐに、いつもの飄々とした笑みに戻った。

「さあな」

軽い答えだった。

「知りたいか?」

そう言って、また私の顎に指をかける。
逃げようとしたのに、するりと距離を詰められてしまう。

「……顔に出ているぞ」

「え?」

「嫉妬している顔だ」

耳元で低く囁かれて、心臓が大きく跳ねた。

「してません」

慌てて否定すると、光秀さんは喉の奥でくくっと笑う。

「ほう」

まるで面白い玩具を見つけたみたいに、光秀さんは楽しそうに目を細める。

「では、していないことにしておこう」

そう言って、光秀さんはくすりと笑う。

「その顔を見られるなら、他の女にも口付けしてみるのも悪くないな」

一瞬、頭が真っ白になった。

「……最低です」

思わずそう言うと、
光秀さんは楽しそうに肩を揺らした。

「そうか?」

「そうです」

くるりと背を向ける。
もう顔を見られたくなかった。


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