第1章 私だけを囲うひと
光秀さんは、優しいの。
そう言うと、みんなはなんとも言えない顔をする。
まるで、苦い物を食べているかのような…。
わかってないのね。
あんなに優しい人、いないのに。
「光秀さんって、本当に優しいんだよ」
「…まあ、あんたがそう思ってるなら、別にいいんだけどさ」
まただ。
家康の言葉は歯切れが悪かった。
「どうして、みんなわかってくれないんだろう…」
「あんたこそ、どうしちゃったんだよ。前は何考えているかわからない。意地悪だって言ってただろ。光秀さんと恋仲になるまで」
そう言うと、家康は急に口を継ぐみ、私の後ろを睨んだ。
「…家康?どうしたの?」
「——楽しそうな話だな」
背後から落ちてきた声は、柔らかい。
でも、空気が一瞬で変わったのを感じた。
振り向くと、光秀さんはいつもの微笑みを浮かべていた。
「光秀さん!」
嬉しくなって駆け寄ると、光秀さんの手が腰に触れ、腕が回された。
あまりにも自然で違和感を感じないくらい。