第5章 宴のあと
昼の宴。
娘は酒に弱いくせに、断りきれず杯を重ねた。
ふらりと崩れ落ちたと聞き、
光秀は即座に席を立った。
焦りは顔に出ない。
だが歩幅は、明らかに広かった。
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部屋に入ると、
葉月は上気した頬で横たわっていた。
そんな姿の娘と視線が合う。
「……みつ、ひでさん」
葉月のとろんと溶けた声。
それだけで、胸の奥がざわめく。
「……自業自得だな」
低く言いながらも、声は思いのほか柔らかい。
葉月は力無く笑った。
「だって……光秀さん、見てたから」
何を、とは聞かぬ。
そう言うと、頬がさらに赤くなる。
——危ういな。
光秀は、静かに息を吐いた。
「ー…楽にしてやるだけだ」
自分に言い聞かせ、葉月の側に行く。
指先を、襟元へ。
そっと結び目を解く。
酔いで力の抜けた身体は、抵抗しない。
むしろ、寄りかかる。
布が緩み、白い胸元がわずかに覗く。
…視線を落とすな。
そう命じながら、指先は止まらない。
「腕を」
命令ではない。
だが逆らえぬ声音で、告げた。
葉月は、ゆるく腕を上げる。
うまく上がらない。
光秀が支えると、預けられる重みを感じる。
…温かく、柔らかい。
袖を抜くたび、葉月は小さく息を零す。
「ん……」
それが無意識の音だと分かっているからこそ、余計に危うい。
「……少し静かにしろ」
誰に言っているのか分からぬ声を出す。
一枚、また一枚。
布が減る。
肩に触れる指先。
酒の熱で火照った肌。
ほんの一瞬だけ、指が止まる。