第4章 本音
公務で忙しい光秀さんと、お城の中で会えることはあまりない。
それなのに、昼間に偶然彼に会えた。
それが嬉しくて、夜に彼の自室を尋ねた。
「今日、会えましたね」
「…そうだな」
「すごく嬉しかったです。手を振ろうか迷いました」
光秀さんは少し黙った後、やや呆れたように笑った。
「またお前は、明け透けにものを言う」
「え?」
「…素直だ、という意味だ」
「光秀さんは、素直じゃないですものね」
「まあ…本音は言わない主義だ。その方が何かと都合が良い」
「そうですか。でも、たまには本音を言っても良いのですよ?あまり溜め込まず、素直になった方が光秀さんの体にも良いと思いますし」
「…ほう。心配してくれているのか」
「はい、もちろんです」
「俺の本心など、知らぬ方がお前のためだと思うがな…」
私が首を傾げると、光秀さんはふっと笑った。
そして、そっと私の首に触れる。
「此処に鎖をつけ、誰の目にも触れさせず、拘束したい…」
一瞬、息が止まるほど低い声だった。