第1章 五条悟と夏油姉弟①
「五条ってさ、夏油姉弟のことホントに大好きだよね」
「…は?」
「無自覚なの?さっきからずっと見てんじゃん」
さっきから五条がずっと見ている視線の先には、夏油とその姉であるが二人で話をしている。
凄く仲が良い姉弟で、このような光景は日常茶飯事なのだが。
「べっつに…なんか話し込んでんなってちょっと思っただけだっつーの」
五条は口では平気そうに言うが、明らかにご機嫌斜めだ。
自分を差し置いて二人だけで話してるのがつまらないのだろう。
「気になるなら行ってくれば?とも話せる良い機会じゃん」
「…傑はともかく、は別にどーでもいいし」
こんな言い方をしているが、五条はのことが好きだ。
周囲にはバレバレなのだが、本人は隠してるつもりらしく、こうしてよく素直じゃない態度を取る。
「ふーん…」
予想通りの反応でついニヤついてしまう私に五条は「チッ」と舌打ちをして、渋々といった感じで夏油姉弟の元へ向かった。
夏油に話しかけるつもりなら夏油の隣に行けばいいのに、五条は夏油との間にわざわざ割って入った。
だが、間に入ったくせにの顔を見る度胸はないらしく、ずっと夏油の方を向いて喋っている。