第5章 トライアングルのち…【虎杖悠仁&伏黒恵・高専編】
距離を詰めようとすると再び蠅頭サイズの蜂が迫る。
今度は…3体…?
針がない。それにしても…素早いっ…
触れないように避けながら、どんな力を持つ蜂か見極める。
あまりに素早く、蜂の羽が服を掠める。
ジュッ…
スカートがかすかに溶けた。
溶解……?ならこうすればっ……
右手の術式を本体に反射し、左手で3体を吸収した。
本体が無数の蜂を避けようと飛び回る所に、溶解の力を持つ蜂を反射した。
ジュウジュウジュウ……
「ギャァァァ…」
断末魔のような叫び声と生き物が溶ける匂いが立ち込める。
倒せた…?
警戒しながらしばらく様子を見ていると、嗅いだ事のない甘い香りがした。
『…何?この匂い…』
死ぬ間際に発動するようになってる術式?
よく見ると、蟻くらいのサイズの蜂が本体から飛び出し、羽を震わせている。
危険な物じゃないはず。多分…大丈夫。
右手に吸収すると……
驚くほど体中が熱くなった。
『…っ……』
下半身に力が入らなくなり、その場に倒れ込む。
…何?何を吸収したの?
「…雫っ…」
悠…仁…?そっちの呪霊は倒せたんだね。流石悠仁。
「大丈夫かっ?どうした?攻撃されたのか…!?」
私を抱き上げ、焦ったように顔を覗き込む。
『かはっ…はぁ……はぁ……』
息がしにくい…言葉が出ない。
side 虎杖
雫は涙目で何かを訴えてくるが、言葉を発さず、何が起きたのかわからない。
俺の腕をぎゅっと掴み、はぁはぁと粗く呼吸をしている。
傷はなさそうだ。出血もしていない。
「雫…大丈夫か?何があった?」
『…ぁ…助けて…』
「わかった…どうしたらいい?」
『………』
「雫…?」
『はぁっ…苦しい…』
熱い手で俺の手を取り、あろう事か雫の下半身に誘導する。
「…っ…雫?何して…」
スカートの中に手を入れると、ヌルっとした物に驚き、手を離す。
「え…?」
『助けて……悠仁…触って…』
蚊の鳴くような声で目を潤め、涙を流す雫。
「これって…」
媚薬…みたいな成分を雫はくらったのか…?
「触っていいんだな?」
コクコクと頷く。確かめなきゃ何もできない。