第5章 トライアングルのち…【虎杖悠仁&伏黒恵・高専編】
任務が重なることも勿論あった。
多分あの日から…
私達の…
私と悠仁、恵の関係はおかしくなったんだ。
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「雫ー、行けるか?」
夕方、駐車場に着くと既に悠仁が待っていた。
『ごめん、遅れた?今日は山だったっけ?暗くなる前に倒せるかな?電気ない場所だと最近見にくくなってきて…』
活字にもスマホにも特に親しんでいないのに、最近薄暗くなる時が1番見にくい。
薬の影響かもしれない…見えないなんて命取りになるだけでなく、仲間を危険にさらす。早いうちに先生に相談してみようと思った。
「まぁ、大丈夫っしょ。2級呪霊1体って情報だし。前情報だからあてにならんけど。」
私達は伊地知さんが運転する車に乗り込んだ。
車内で説明を受け、30分程車を走らせると目的地に到着した。
「では、帳を降ろします。ご無事で、無理なさらず。」
悠仁と帳の中を進むと、早速大きなカブトムシのような呪霊が現れた。脚には鋭い刀のような物がついている。
『脚に注意がいきそうだけど…
飛びそうだね。あと口も警戒しなきゃ。よく動いてる。』
「了解。挟むか。」
じりじりと距離を詰めようとすると、後方から殺気を感じた。
『悠仁っ……』
見ると後方には蜂のような呪霊が迫っていた。
「見たところ2級くらいだな。二手になるか。どっちいく?」
『…できれば蜂。カブトムシ硬そうだから悠仁のパンチに頼りたい。』
「わかった。死ぬなよ。」
悠仁から離れた場所に引き付け、蜂の出方を待つ。
次の瞬間、蜂から蠅頭くらいの蜂がうじゃうじゃと勢いよく向かってきた。
『…っ……』
術式…なら吸収できる。
巧みに避けながら右手に全て吸収し、術式を保つ。
針を向けながら迫ってきた。恐らく毒。
毒や痺れ、麻痺、昏睡、溶解…危険とされるそれらは吸収してもダメージを受けないようにあらかじめプログラムしている。
体に何も変化がないということはそのうちのどれかだ。
どうする…?反射するかもう少し出方を待つか…
同じ術式なら相殺できる。けれど違う場合、競り負けるリスクもある。
様子を伺いながら急所を探る。
頭…そりゃ、首を落としたいけど顔が前に出てるんだよな…
昆虫って厄介だ…