第5章 トライアングルのち…【虎杖悠仁&伏黒恵・高専編】
それから私達はたくさんの時間を一緒に過ごした。
本業は祓除なので授業も真面目にこなし、体術訓練にも力を入れた。
「雫、術式の使い方、何か上達した?」
『えっ、野薔薇本当?ちょっと練習して、吸収後少し溜めをつくってみたの。早く出し過ぎだって五条先生に注意されて。』
「へぇ、やっぱそうか。前から思ってたんだけど、雫の術式って、上手く使ったらマジで最強じゃね?」
『上手く使えたらね…まだまだだよ。
術式なら一旦吸収して、反射できる。けど具体物とか体術系は対象外だから、悠仁レベルに近接得意な相手の場合、アウトだよね…
それに自分より階級の高い呪霊や呪詛師の術式は吸収しようとするとまだ跳ね返されるだろうし…リスク高くて…
もっと頑張らなきゃ。悠仁、近接のトレーニング付き合ってくれる?』
「たりめーじゃん。来いっ。」
土日、2級術師である恵が1番忙しく、野薔薇と悠仁と私は任務にそこまで駆り出されることもなく、わりと休みがあった。
2人は私を気遣って、色んな所に連れて行ってくれた。
動物園、水族館、遊園地に映画、ショッピング…
「君、少しいいかな?」
『え…?』
渋谷や原宿に行くと決まって声をかけられ、決まって…
「あ、よくないっす。興味ないんで。」
「てか、私はどうなの?私は。」
2人が何とかしてくれた。
「ったく。おかしいでしょ。確かに雫は可愛い。美人でもある。スタイルも…私と…いや。私よりいいわよ…
けど私だって十分イケてるだろっ。」
『うん。野薔薇は美人だよ。優しいし、涙もろいし可愛い。』
クレープを食べながら嗜める。
「そうよね?アイツらの目が節穴なのよ。」
「釘崎は何か雰囲気がこう…高圧的だからじゃない?
フワフワというか…ホニャホニャというか…隙がある方が声かけやすいじゃん?」
『えっ、私隙あるの?嘘っ。』
「狙ってるわけじゃないだろうけど、話しかけやすさはやっぱり雫の方があるよ。にこにこしてるし。」
「はいはい、こういうことね。にっこり笑ってフニャフニャしてりゃいいのよね。」
不気味な作り笑いをして、タコみたいにフニャフニャしてみせる野薔薇。
『ぶっ。ちょっと野薔薇やめてー。』
「それ、ぜってー違うやつだわ。」