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【呪術廻戦】甘く愛される短編集《R18》

第5章 トライアングルのち…【虎杖悠仁&伏黒恵・高専編】



side 雫

悠仁は今まで見たこともないような優しい顔で私を見つめた。

「雫がさ、生まれてきてよかった、って自分で思えるようにする事。

俺等はとっくに思ってるよ?
けどそれは雫自身が思わなきゃ意味がないんだ。

世の中には楽しいことが沢山あって、安心できる場所があって、自分にはちゃんと価値があって、この先の人生だって自分でいくらでも選べる。誰かに支配される事なんてないって、雫に思ってほしい。」


『悠仁……』


「雫が寂しい時は俺等がいつでも側にいるし、力になる。だから…忘れなくていいけど…

お母さんにはもう期待しない方がいいよ。
それは難しい?」


涙が頬を伝う。


『そんな事ない…ありがとう…悠仁…』

「ん。泣かないで雫。俺雫が笑ってんの、すげー好きなんだよ。」

ヘラっと笑って涙を拭ってくれる悠仁につられて笑う。

「ったく誰が泣かしてんのよ。美味しいとこ取りしやがって。」

「えっ、そう?」

「伏黒、あんたも何とか言いなさいよ、仲間として。雫への決意表明。」

「は?」

「雫の話聞いてなんとも思わなかったの?
何か感じたでしょ、デリカシーないなりに。」

「その言葉が既にデリカシーないだろ。ったく……

雫…大変だったな。
俺達にできる事は何でも言ってくれ。」


「………は?それだけ?」

「何だよ、パっと思いつかないんだよ。」

「全くあんたって奴は…」




『ふふっ…皆、ありがとう…
正直私の事なんて忘れてるんじゃないかな、って思ってたよ。私…幸せだ。悠仁、もう思っちゃったよ。生まれてきてよかった、って。』

「雫ー…何でそんな可愛いのよ。反則だ、このこのー。」

『いたたた……』

「おい、やめろ釘崎。
そんな顔になったらどうすんだ。」

「こんな綺麗な顔、少し位歪んだ方が丁度いいのよ。」

「僻むなよ釘崎。」

「はぁ?誰が僻んでるって?バカじゃないの。」


野薔薇が私の頬をぎゅっと摘んで優しく伸ばす。


こんな風に友達に感謝した事なんてなかった。

こんなに友達に良くしてもらった事もなかった。


自分が支えてもらうだけではなくて、自分もこの先3人を支えたい。心からそう思った。
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