第4章 アングレカム【五条悟・教師編】
「…ったく気をつけろよ?もう尻拭いはごめんだからな。」
「前のは生徒じゃないじゃない。それに、きちんとお礼もしたでしょ。十分すぎるくらいにさ…」
「へぇ。本当に生徒なんだ。誰だ?何年?東京?京都?術師?補助監?」
「ナイショ♡」
僕は硝子のいる医務室を出て、女子寮に向かった。
雫、中身見たかな?
自然と足早になっている自分に気づく。
嫌だね、楽しみとか思っちゃってるのかな、この僕が。
ふと、前から歩いてくる二人組に気付いた。
「あれ?どうしたの?二人共。」
二人の手には、飲み物やお菓子の入った袋が下げられている。
「あー、五条先生。
釘崎と雫の様子見に行ったんだけど、寝てたみたいだから出直そうと思って。伏黒もついててくれたみたいだし、大丈夫かなって。もう戻るって言ってたけど。」
「ふふっ、バカね…」
「ん?」
「部屋確認しなきゃわかんないわけ?お子様はこれだから困るのよねー。」
「え…?どういう意味?」
「起きてたに決まってんでしょ、雫。私達が邪魔しちゃったのよ。伏黒に悪いことしたわね。」
「え?雫、寝てなかったって事?何で俺達にそんな嘘つく必要があんの?」
「それを言わせるな、って言ってんのよ。お子様の虎杖は知らなくていいわ。で、先生はどこ行くの?」
「…僕もちょっと、雫に用事があったんだけどね。」
「先生、二人の邪魔しないでよ。」
「ふふっ…野薔薇は本当に面白いね。」
お菓子をどこで食べるのか話しながら、野薔薇と悠仁は雫の部屋とは逆方向へ消えていった。
「……さてと。」
side 雫
『んっ…ふっ…んんっ……』
舌と舌を絡める事が、こんなに柔らかくて気もち良いのだと初めて知った。
唾液が絡まり、脳がトロトロに蕩けるように心地よくて、生理的な涙が溢れる。
『ぁっ…んっ……ふっ…』
「…雫…もしかして…初めてか?」
回らない頭でゆっくりと頷いた。
「…っ…ごめん。けど俺、お前の事…」
『恵お願い……後ろのリボン…緩めて…』
"苦しくて息ができない"
「っ待ってろ…今すぐやる…」
恵にリボンを緩めてもらうと、一気に体の締め付けから開放された。
『はぁ…やっと息できた。恵ありが…』