第1章 愛しい君【夏油傑・高専編】
『ごめんね…傑。もう大丈夫。
泣いたらスッキリして、お腹すいちゃった。クレープ食べたいな。へへ、傑の奢りなら2つ食べちゃおー。食べきれなかったら手伝ってね。』
涙も止まり、傑の手を引いてクレープ屋さんまで向かおうとすると、くん、と腕を引っ張られ、建物の壁側に閉じ込められた。
『……傑?』
俯く傑の表情が見えなくて不安に思っていると、パッと上げたその顔は切なげに赤らんでいて。
「雫…自分で言っておいてごめん…今度クレープでもケーキでも何でも奢るし、埋め合わせもちゃんとする。だから今日だけは…」
妖艶な瞳が揺れて、ドクリと心臓が跳ねる。
「今すぐ…君に触れさせて…?」
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フロントのないホテル、という場所に来たのは初めてだった。
誰にも会わない間接照明の廊下に少し怖気づいたけれど、私の不安に気づいたのかしっかりと手を握り、微笑みかけてくれる傑が隣にいてくれるお陰で、体の強張りは次第に緩んでいった。
部屋に入るなり傑は私をベッドに運び、覆いかぶさって荒々しく唇を塞いだ。
『ん……ふっ…んぁ…んっ……傑っ…』
ピチャピチャと音がするくらい、傑が唾液を流し込んでくる。驚いて、そっと傑の胸を押す。
「…怖いかい?雫。」
『怖く………ない…』
「ふっ…その蕩けた顔で、君はいつも私を煽るんだ。私がどれ程雫を好きか、体に教えてあげる…」
先ほどとは違い、啄むように唇に触れていると、ゆっくりと舌が差し込まれ、口内を優しく這い回る。
『んっ……ふっ…ぁっ……』
「雫…舌出して。」
言われるがままに舌を出すと、絡められ、チュウっと吸われてまた絡めて…