第1章 愛しい君【夏油傑・高専編】
「…雫……?」
『ふふっ……気にしないで。傑は何も悪くないよ…
それに、こんなパッとしない顔、傷の一つもあった方が逆に個性出るし。ごめんね、私…先に帰る。』
ホント…嫌味で可愛くない。
酷い顔してるってわかる。
早く帰りたくて走り出そうとすると、簡単に掴まれる腕。
「雫、待って。話を…」
『話すことなんてない。ほっといてよっ。
傑には私なんかじゃなくて、もっと可愛くて、明るくて…面倒くさくない子が似合ってるんだよっ…!』
「雫……」
必死に腕を振り払おうとしても、傑の力にかなうはずがない。再びすっぽりと体に収められると、額に口づけられる。
『っ…離して……』
こんな自分、これ以上傑に見られたくなくて涙が溢れる。必死に身体を押そうとすると、耳元に降ってくる優しい声。
「雫…私のこと好き?」
『…っ何で今そんな……』
「私は大好きだよ。」
『…っ………』
優しく、弱々しい声が続く。
「ごめんね…雫。雫を不安にさせていたんだね。私が君に、きちんと想いを伝えていたら良かったんだ。」
『……ふっ……ぅっ……ぅ…』
「私が好きなのは雫だよ。雫だけだ。」
『傑……私が…彼女で…いいの?』
「何だいそれ?君じゃなきゃ意味がないよ。」
『私…美人じゃない…』
「凄く可愛いよ。ふふっ…怒った顔が特にね。」
『面倒くさいよ……?』
「それは良かった。私の長所は人一倍、面倒見の良いところなんだ。」
『…胸も…大きくな……んっ…む…』
傑の薄く、綺麗な形の唇が重ねられ、スルリと舌が侵入してくる。
『ふっ…ん…ぁ…』
かろうじて聞こえる、色気を含む声。
「柔らかくて、控えめな雫の胸が、大好きだよ。」
『……傑…』
こんな態度を取ったことや、嫌なところをぶつけたことは今まで一度もなかった。
私の自信のない部分を全て肯定してくれる傑の優しさに安心して、また涙が溢れる。
そんな私を、傑は黙って抱きしめ続けてくれた。