第3章 ヘブンロード【七海建人・高専編】
その後は傑と交代で施設に様子を見に行った。
高専の事を伝えると少し元気になり、術式も持っていて少し鍛えるとみるみる上達した。
俺達は雫を高専に推薦し、入学が決まると目標ができたと笑った。
" 呪詛師や呪霊の被害で悲しむ人を一人でも減らしたいです"
目標ができるのはいい事だが、それだけで人は頑張れない。
不自由のない環境、高め合える友人、理解してくれる恋人…高専は雫にとって幸せな場所になったはずで、俺も傑も安心していた。
けど【ずっと同じ】はあり得ないから…
何かの拍子に均衡が狂った時、雫がどうなるか心配だった。
「七海…頼むぞ。」
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side 雫
「今はとにかく休め…七海。任務は悟が引き継いだ…」
夏油先輩の体で見えない…
『ゆ…う…?』
「っ雫…何でここに…」
『硝子…先輩がここだって…』
「硝子が……?…雫、今は…」
夏油先輩がこちらを向いた瞬間、傷だらけの雄の顔が見えた。
『雄っ……』
雄の顔は青白く、唇は黒に近い紫で、かけられた布の胸の辺りには、血がべっとりとついていた。
布に手をかけ、捲ろうとすると
「雫…っ…見るなっ……!」
夏油先輩が止めようとした時はもう…全て確認した後だった。
血を流しながら
冷たく
動かなくなった両親と雄が重なり
私はそのまま意識を手放した。