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【呪術廻戦】甘く愛される短編集《R18》

第3章 ヘブンロード【七海建人・高専編】


雫の部屋を後にし、男子寮に戻る。
七海の部屋のドアをノックすると、少し経ってから扉が開いた。

「出るのおせーよ、ダサ男。」

「…明日から遠方任務なんで、その仕度をしていました。何ですか?こんな遅くに。」

「何ですかじゃねぇよ。お前さ、何やってんの?せっかく俺が助け舟出したのに、前より状況悪くなってんのは何で?」

「…私のせいです。」

「んな事わかってるよ。」

「…雫に話しかけても無視されていて…このままではと思いながら、どうすることもできずに、ここまできてしまいました。」

「怒らせるようなことしたわけ?」

「…言いたくありません。」

「手ぇ出したとかじゃないだろ?」

「…だから言いませんて。」

「何だ、マジか…それは意外だった。で?」

勝手に話を進める俺に観念し、七海は深く溜息をついて答えた。


「…なぜキスを…したのかと泣かれて…」

「うん、それで?」

キスしたのか…と、いちいち反応せず俺は七海が開けたドアをグッと掴んだ。

「答えられずに今に至ります。」

「はぁー?七海お前…ダサ男じゃない。ウジウジ男のクソ男だ。」

「わかってますよ…」


「ったくお前も雫も…」

俺はガシガシと頭を掻きながら七海を見つめた。

「五条さん…明日から灰原と任務に行くんです。そこで灰原にはきちんと話して…帰ってきたら雫に思いを伝えようと思っています。」

「…何だ。きちんとプランあんじゃん。」

「それはそうでしょう。このままでいいとは誰も思っていませんから。」

俺はドアから手を離した。

「お前は真面目すぎるのが玉に瑕だよな。人にも自分にも。バランス悪いっていうか器用じゃないっていうか…

まぁでも、安心した。上手く言おうなんて思わなくていいんだからさ。ちゃんと伝えろよ、七海。」


同じ階にある自室へ、ゆっくりと向かいながら考える。
雫は俺が…いや、俺と傑が特に気にしている女の子なのは間違いない。

あいつが中3の真冬…川の深い方へ真っ直ぐ歩いていくのをたまたま傑と一緒に見つけ、驚いて助けに入った。
冷たくなって無表情で震える雫から呪力を感じ、色々と調べると両親が窓だったことがわかった。
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