第3章 ヘブンロード【七海建人・高専編】
『…痛っ…何?』
「なぜ灰原と別れたんですか?」
『………』
「私のせいですか?」
『…ちがっ…』
「灰原の所に行きましょう。この間のこと…灰原に正直に話します。どうせ罪悪感で別れるなんで言ったのでしょう?悪いのは私です。2人には何の罪もない。」
再び雫の腕を掴み、灰原の部屋に向かおうとすると抵抗する雫。
『…っやめて…頼んでない、そんな事。』
「もっと早くに言うべきでした。」
『雄との事は私達の問題なの…首突っ込まないでよ。』
「だったらせめて理由を聞いても?なぜ突然そんなことになったのですか。」
『…………ない…』
「…?」
『建人に関係ない…私だって……教えてほしいのに。
何でこの前私に……キス…したの?』
大きな瞳からは涙がぽろぽろと溢れ出ている。
「それは…」
言えるはずない。言ったらいけない。
『ふふっ、意外…誰にでもするんだね、建人は…』
「っ…そんなわけないでしょう…」
雫の両肩を掴むと、ビクっと震えたのがわかった。
「私は……」
「七海っ…雫、どうしたの?何かあったの?二人共。喧嘩…?とにかく一旦落ち着こう。」
心配して追いかけてきてくれた夏油さんに宥められ、話をしようと部屋の方に無理矢理向かわされる。雫は泣きながら家入さんに抱えられ、女子寮に向かっていった。
こんなに周りの人間を巻き込んで、雫を泣かせ、灰原を裏切った。
何て…最低なんだろうな…
空回りが過ぎる自分自身に嫌気がさし
そっと…
雫への気持ちは心の中に閉じ込めようと思った。