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【呪術廻戦】甘く愛される短編集《R18》

第3章 ヘブンロード【七海建人・高専編】


「…けど良かったのか?
雫がいない所でこんな大事な話をして…」

「…ふふ、七海は本当に優しい奴だよね。
雫が言ったんだ、僕から七海に話してくれって。
七海にまだ話してなかったこと、気になってたみたい。」

「…そうですか。」

「七海…さっき信用してなかったから話さなかったんじゃないか、って言ったけど…それは違うよ。」

「……?」

「信用してたから、言えなかったんだと思う。
本当は頑張って乗り越えて、強い自分になりたいって雫言ってたから…」

「…………」

「僕たちは呪術師だから、いつどうなるかわからない。だから僕にもしもの事があったらその時は七海…

雫の事頼むよ。」

真剣な瞳が私を見つめる。


「嫌です。仲間に何を頼んでいるんだ、縁起でもない。それに…好きな女性を人に任せるなんて気が知れない。」

はぁー、と溜息をつくと、灰原はそうだよね、と笑った。



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帰路につくためフェリーに乗り込むと、灰原が高専に連絡を入れると席を立った。私は灰原を見送り、意を決して雫に声をかけた。

「雫…」

『建人、朝から気づいてたんだけど…
目の下のクマがやばい…眠れなかったの?私のせいだったらごめん…』

「大した事ありません。その…調子はどうですか?」

『いや、建人こそ体調大丈夫なの?その顔で大した事ないって言われても説得力ないし。』

ははっ、と笑う雫はいつもの雫だった。


「悪かったと思っています。」

『…え?』

「知らなかったとはいえ、自分の価値観や一般論を押し付けていた。」

『そんなことないよ…』


「それから……乗り越える必要なんてないと思いますよ。」

『………』

「雫…人の死は、乗り越えるものじゃない。忘れるものでもない。背負っていくしかないんです。」

『…うん。』

「灰原が一緒に背負ってくれるでしょう。けど…」


雫を見つめて言った。

「私にもできる事があるなら言ってほしい。
子供じゃないとか、ああしろとかこうしろとか、おかしいとか違うとか…もう2度と言いませんから。」

『…ありがとう。』
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