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【呪術廻戦】甘く愛される短編集《R18》

第2章 青く澄んだ空【五条悟・高専編】


「大事にしたくてもできない事だってあるし、最強っつったって、呪術師やってたらいつ死ぬかもわかんないよね。知らないうちに傷つけることだってあるだろうし。
だから…
わからない、っていうのが答え。」

「…初めからお前に任せていたら良かったな。」

「は?」

「傑は俺に言った、絶対雫を幸せにすると…
だがこの世に絶対、必ずなんてない。
そう口にする奴の事を、初めから信用してはいけなかった。」

「……それはどうかな。」

俺は立ち上がり、夜蛾先生の方を向いた。

「雫はさ、傑といて幸せだったと思うよ。
近くで見てたからそれは保証する。幸せだったからこそ、好きだったからこそ受け入れられなくて傷ついてるわけじゃん。他人の事であそこまで落ちるってさ…

愛以外の何があんの?」

陽は沈みかけ、薄暗くなっていた。
俺は早足で石段を降り、食堂に向かった。


ーーーーーーーーーーーー
 

コンコン

扉を叩くも、案の定返事はない。

ガチャ…

ノブに手をかけると鍵が掛かっていないのがわかり、勝手に扉を開け、中に入る。カチャカチャという食器の音が響いた。
人が入ってきたことがわかったのか、雫は頭までタオルケットを被っている。

「何でいつも鍵かけねーの?危ねぇじゃん。他の補助監督の奴らとか、1、2年もいんだぞ。」

ベッドから小さな声が聞こえる。

『傑が…いつでも入ってこられるようにしてたの。
それを知ってる他の子も、変な事しに入ろうなんて思わなかったはずだから…』

「………」

『ご飯…ありがとう。けど食べられそうにない…』

「いい加減食わねぇと倒れんぞ。
何日まともに食ってねぇんだ。」

消え入りそうな、更に小さな声が聞こえる。

『…どれくらい食べなかったら…人って死ぬのかな…』

うっ…グスっ…という声が聞こえ、俺は頭に血が上ってタオルケットを剥ぎ取った。

「…っいつまでもふざけたこと言ってんじゃねーぞ。
起きろっ…」

『やめて…返して…』

団子虫のように横向きに丸まり、雫は顔を覆っている。

「返さねぇよ。」

『傑、どこ…行ったのかな…』

「さあな。」

『…傑に会いたい…』

「…………」

『うっ…涙ってどうしたら止まるの…?教えてよ悟…』

「………」


ギシっ…

『……っ…』
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