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【呪術廻戦】甘く愛される短編集《R18》

第2章 青く澄んだ空【五条悟・高専編】


side 雫

悟に先に行ってもらい、後を追いかける。

大丈夫。
傑はきっと、笑顔でこう言う。
何だい?何のことだい?って。
何かの間違いだよ、私がそんなことするわけないじゃないか、って困ったように眉を下げて言うに決まってる。


じゃあ…どうして逃げていたの…?

どうして村に、傑の残穢が残っていたの…?


不安を掻き消すように、ブンブンと頭を振った。


人混みの先に悟を見つけ、その前にいたのは…

『っ傑……』

「……雫?」

こちらを見つめる傑は少し痩せたように見え、その姿に不安が高まる。
傑は一瞬目を大きく見開いたけれど、すぐにいつもの表情に戻った。

「どうして来たの?」

『傑…嘘…だよね……?』

体も、口から出る言葉も震え、上手く話せない。

「嘘って?」

『人…を…殺したなんて嘘だよね…!?』


すれ違う数人がこちらを振り返る。

「 雫…ここじゃ……」

肩に触れる悟の手を振り払った。

「嘘じゃないよ。家族の事も。私が殺したんだ。」

『…っ………』

傑の言葉に、体中が熱くなり、血液が下半身に落ちていくように感じた。急激に寒くなって、膝がガクガクと震えだした。


『う…そだよ。そんなわけない……』

視界がぼやけ、重い涙の粒が落ちてはまたぼやけ、また粒が頬を伝っていく。

「すべきこと、生き方が決まったんだ。
雫、もう君とは一緒にいられない。」

そう言い放ち、傑は前を向いて歩き出そうとした。


『う……嘘つきっ。大嘘つき……
ずっと一緒って言った。ずっと守るって言った。
ずっと私を好きだって…
私のこと置いていくの…?ひどい…酷いよ傑っ……』


涙腺が決壊し、子供のように大きな声で泣きながら、押し殺していた感情をぶつけた。


「…君が好きだから、君を守るために離れるんだ。
今の君が私と一緒にいたら、辛いことや悲しいことがきっとある。汚いもの、見なくてもいいものを、たくさん見なくてはいけないよ。」

ふっ、と目を細めて笑う傑は、私の知っている優しい表情の傑だった。
少し掠れた声が続く。


「私が歩む修羅の道を、君に歩ませたくはないんだ。」


『…す……』

「さよなら、雫」

『…傑っ…』
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