第5章 トライアングルのち…【虎杖悠仁&伏黒恵・高専編】
五条先生が自身を引き抜くと、コポっとナカから体液が流れるのがわかった。
『本…当に……』
出したんだ。
何で……?
「雫、僕達さ…一緒に親になろう。」
『…?親…に…?何言ってるの?
なれるわけない…こんな滅茶苦茶な人間が…』
自分の事もコントロールできないのに。
「もう一回聞くよ、雫。僕の事好き?」
真っ直ぐな、青く透き通る瞳が私を見つめる。
『…ぅっ…………
好き……大好きだから…忘れたかったのに。』
もう隠せない。嘘なんてつけない。
ぎゅっと私を抱きしめる先生の腕が、かすかに震えているのがわかり、驚いて見上げた。
「ごめん雫。僕が無闇矢鱈に君を抱いたから…
君が大変になったのは僕のせいだ。」
『………』
私を見ずに先生は続けた。
「…僕も親には直接育てられてないから、親が子供にどう接したらいいのか、正直よくわからない。」
けどさ…私の目を見つめ、鼻先をつけて言った。
「雫を見ていてわかった。多分子供にとって、親は大切な存在なんだ。
親に傷つけられた君。親の愛情を知らない僕。
こんな僕達だけど、人に頼りながら子供を育てるのも悪くないんじゃない?」
『本…気…なんですか?』
「僕はいつだって本気だよ?」
『ふふっ…馬鹿げてます。
忙しい先生が子供と関わるなんて…無理ですよ物理的に。祓除に会合、出張に先生としての業務…そもそも先生は五条家の当主ですよ?先生のお父さんと同じことになるに決まってます…』
うーん、と考える先生。
「じゃあさ、今まで僕がやってきた事も、これから僕がしなきゃいけない事も、半分にしたらいい。そうしたらもう半分は雫を優先できるでしょ。」
『っ…そこまでの価値なんて私にはないっ…』
「雫…」
「価値があるかないかは僕が決める。
僕は前から思ってたんだよ。呪術界の腐った体制、馬鹿げたシステムを何とかしたいって。
僕がその先駆者になったらいい。」
育休とか取っちゃったりしてさー、と先生はケラケラと笑う。
『ぶっ飛んでますね…』
「くくっ、何?今更気付いたの?呪術師なんて皆ある程度ぶっ飛んでるでしょ。」
『‥私が相手なんて…色んな人をがっかりさせますよ…』
「何で?」
『間違いをたくさん犯したから…』