第5章 トライアングルのち…【虎杖悠仁&伏黒恵・高専編】
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「雫、今後の任務についてちょっと説明しておきたい事があるんだけど、午後は何も入ってなかったよね?
ちょっと僕の部屋においで。」
『……?はい…わかりました。』
任務についての話をわざわざ部屋で…?
極秘の任務…でも恵ではなく私になんて事あるのかな。
私の術式が有効な呪霊の討伐任務…?
いずれにしても必要とされている。
常時付きまとっているモヤモヤとした感情も、祓除の時は忘れられた。与えられる任務はきちんと全うしたい。
皆で昼食を終えると呼吸を整え、五条先生の部屋に向かった。
コンコンコン…
『先生、雫です。』
「入って。」
低いトーンの声に、緊張が走る。
『失礼します…』
中に入るとカーテンが締まり、電気のついていない部屋の中は薄暗かった。
『先生…?』
扉を締め、靴を脱いで中に入ると
「時間通り。流石だね、偉いじゃない。」
目隠しを下げた五条先生がのっそりと現れ、私に近づいてきた。
『…っ……』
ポスン、と肩に頭を置くと、ゆっくりと口を開く先生。
「何か久しぶり、雫とこういう事するの。」
甘い香りが鼻腔をくすぐると、グリグリと揺らした頭が頰に触れる。
『…先生髪が…くすぐったい。ふふっ…大型犬じゃないんだから…』
髪を優しく乱すようにさすると、ピタリと動きが止まった。
『……先生…?』
「そう…僕は犬みたいに忠実に【待て】をしてきたし、君を守ろうとドクターの言いつけも、ちゃんと守ってきた。」
『っ……』
頭を上げた先生の顔は
怒っているようにも、悲しんでいるようにも見えた。
淡々と話す口調からは感情が読み取れず、後退りしようとすると、強引に掴まれる腕。
『…っ……』
「雫…」
『今後の任務の話じゃ…』「そうだよ。」
「するよ、任務の話。大事な用が済んだらね。」
先生は私をひょいっと抱き上げると、ベッドに連れて行こうとした。
『…っ先生やめてっ。五条せん…』「何でさぁ…」
「悠仁と恵は受け入れて、僕はダメなの?」
『っ……』
バレているのはわかってはいた。
「雫のココは、もう二人の形になっちゃったのかな。」