第5章 トライアングルのち…【虎杖悠仁&伏黒恵・高専編】
「じゃあもう、軽々しく雫に手を出すな。
忘れたの?何で雫は高専を休学してた?
雫は複雑な家庭環境もあって、セックスに依存するんだよ。
せっかく治療してたのに…元も子もないじゃない。
またあの頃の雫に戻したいの?」
「そんなわけない…」
虎杖が反論した。
「…じゃあ僕の言ってる事わかるよね?」
「…………」
「返事は?」
「はい。」
「わかった…」
ーーーーーーーーーーー
「昨日、雫の部屋に行ったんだな。」
「…ん?ああ。」
俺達は食堂に向かっていた。
何か考え事をしているのか、ぼうっとしながら虎杖は答えた。
「思い合ってんなら一緒にいりゃいいだろうが…」
「………」
「宿儺か?」
「…っ……そうだよ。俺はいずれ死ぬ。
雫を悲しませたくない…」
虎杖の拳からはギリギリと音が鳴った。
「ダッサ…」
「はぁ!?」
「いつ死ぬかわからないのは、俺等呪術師は皆一緒だろうが。」
「……伏黒」
「俺がお前なら一緒にいる。人に何を言われてもな。好きな子が自分を求めてるなら尚更だ。」
「…すげぇな……やっぱお前になら…
雫を任せられる。」
ガッ…
「ってぇ。何だよ!?」
「本人が俺を求めてねぇのに、俺に任せたって意味ねぇだろうが。それとも何だ?馬鹿にしてんのか?あぁ?」
虎杖を殴り、胸ぐらを掴んだ。
虎杖は俺の目を見て、ゆっくり手を掴み、下に降ろした。
「…俺だって一緒にいてぇよ。
けど考えだすとさ…止まらなくなるんだ…何で俺が処刑…何で俺が死ななきゃなんねぇんだ、って。
そうなると…すっげぇ絶望的な気持ちになんだよ。」
色を失った虎杖の瞳を見て気付いた。
コイツもコイツなりに苦しんでいるのか…
「…悪かった。俺とお前の境遇はやっぱ違うよな。」
「…大丈夫。今まで通りに…できると思う。」
「俺は…そう簡単には無理だ。」
食堂に着くと、釘崎と雫は楽しそうに話をしていた。
「あんたら悪かったわね…雫から話聞いたから。」
「え…」
「何の話だ?」
「だから、昨日の声とベッドの軋む音。雫の名誉に関わる話だからこの話はもう終わり。
あんたらには関係ないってわかったからいいわ。」