第5章 トライアングルのち…【虎杖悠仁&伏黒恵・高専編】
「おはよーう。」
「…おはようございます。」
「ん?どうしたの?皆難しい顔して。ケンカ?」
「別に…なんでもないわよ…」
「…雫がまだ来てないか。珍しいね。」
五条先生が雫の机に目を向ける。
「疲れちゃったんでしょ、バカのせいで。」
俺等を一瞥しながら席につく釘崎。
「…さ、じゃあ始めよう。」
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side 伏黒
授業が始まっても、釘崎の言葉が頭から離れなかった。
虎杖は昨日の夜雫の部屋に行ったのか。
だとしたら…
『…おはようございます。遅れてすみません。』
強張った表情の雫が小さな声で教室に入ってきた。
「大丈夫?雫疲れてんの?
自分の体、きちんと管理するのも術師の仕事だよ。」
五条先生の厳しい言葉に、雫は
『すみません…大丈夫です。気をつけます。』
更に小さい声を絞り出し、席についた。
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「悠仁、恵。二人はちょっと残るように。」
「はい。」「何?五条先生。」
釘崎と雫が出ていったのを見届けると、五条先生はガラガラと扉を閉めた。
「あのさぁ…僕でも学生時代やったことないし、最近の子達のやる事がわからないんだけどさ…」
ピリピリとした雰囲気に、思わず俺も虎杖も身構えた。
「二人で雫の事シェアしてんの?」
これはカマをかけられているのではなく、五条先生には何もかも見えてる…
隠すのは得策じゃない。
俺は自分の気持ちと、自分のした事を話した。
雫がだらしないと思われたくなかった。
「俺も…」
虎杖も口を開き、互いに雫への気持ちを口にする形になった。
「なるほどね…
雫が入ってきた時、お前達2人分の呪力が雫の体の中に残ってたのが見えたんだ。
いくら体を洗っても、呪力そのものはしばらく消せないからね。触れる、当たるだけならすぐに消えるけど、体に残るっていう事は体の一部が雫の中に入っていた、って証拠だ。」
五条先生はグラウンドに目をやった。
「けどまぁ、これではっきりしたじゃない。
恵はフラれた。悠仁は雫と思い合ってる。けど、雫の側にいる気はない。だよね?」
俺達は頷いた。