第5章 トライアングルのち…【虎杖悠仁&伏黒恵・高専編】
side 虎杖
ずっと好きだった。
多分初めて見た時から。
屈託のない、というよりどこか儚げで、目が離せなくなるような雫の笑顔を見るたび、守ってやりたい、側にいたいという思いは強まっていった。
いつしかそれは、釘崎や他の女子に対する気持ちとは違うものだと気付いた。けれど大切な仲間だから…
ずっとこの距離感でいいと思っていたのも事実だった。
幸か不幸か、任務の中で雫が大変な状況になり、想いを伝えることなく彼女を抱いた事で、俺の中の雫への
気持ちは明確になった。
けれど五条先生に言われた通り、俺の体も境遇も、もう俺一人の物ではないから…
俺は雫の側にいるのに相応しい人間じゃないと気付いた。
だから、想いを断ち切るために突き放そうとしたんだ。
嫌われてもいいと思った。
なのに…
伏黒と楽しそうに笑い、キスをする雫を見た時にわかった。
それは無理だ、と。
頭から何時間もその光景が消えず、ジクジクと痛む胸の傷を抱えたまま、気付いたら俺は雫の部屋に向かっていた。
大丈夫、伏黒との関係を確かめるだけ。ただそれだけ。
そう決めていたのに…
"私の目の前に…"
"失恋した…"
自分の振る舞いで大好きな子を誤解させ、傷つけ、泣かせてしまったことがわかって頭が真っ白になった。
俺は何て鈍くて、愚かなんだろう。
『…そうだよ……悠仁。私が好きなのは…悠仁だよ。』
雫の細い腕が、俺を抱きしめるように背中に回された。
ふわふわとした、綿菓子のような体を抱き締め返す。
「雫…」
俺は雫を見つめると、そっと唇を重ねた。ゆっくり、感触を確かめるように。
獣のような、互いに噛みつくような昨日の口付けとは違う、優しく、愛しさでしかない行為。
『悠仁……』
溢れ出る俺の想いを悟った雫は、目を瞑り、背中に回していた腕を首に回した。
舌を絡めると昨日の事が蘇り、下半身が疼いていく。
『んっ…悠仁………』
雫の太腿に昂った自身を擦り付け、胸に触れた。
我慢の限界だった。
俺は部屋から履いてきたサンダルを脱ぐと雫を抱え、部屋に入った。