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【呪術廻戦】甘く愛される短編集《R18》

第5章 トライアングルのち…【虎杖悠仁&伏黒恵・高専編】


 
「いや……俺が悪いな、全部…」

やる事為す事、全て空回って全然意味がない。


『ごめん…恵は悪くないよ。何か今日はホント…何も入ってこなくて…
ラーメンの味も、映画も…
せっかく恵が気を遣ってくれたのに…』

ポロポロと溢れる涙を拭う雫の姿を、今日何度見ただろうか。


少しだけ、元気になったはずだった。

笑顔が見られて安心したはずだった。


そう、虎杖の姿を見るまでは…


俺達2人は、どうにもできない、やり場のない気持ちを抱えたまま、街の喧騒の中立ち尽くした。


「帰ろう…」

俺は左手の拳を握ると、雫の背中を支え、歩き出した。



ーーーーーーーーーー


「大丈夫か…?」

『うん、少しスッキリした…』

赤い目をした雫を部屋の前まで送り届けると、優しく抱きしめ、額に口付けた。

『…っ……』

「ちょっとずつでいいから…元気出せ。
俺ができる事は何でもしてやる。
だから…泣くな。」

『うん……ありがとう。』

無理して笑顔をつくり、中に入って行った雫の部屋の扉をしばらく見つめ、俺は重い足取りのまま部屋に戻った。



side 雫

帰りのバスの中で、スマホにきたメッセージを開いた。

"部屋の机の下に、雫の学生証があったよ。気付かなくてごめんな。もう帰ってる?持って行こうか?"


悠仁からのメッセージだった。

優しい文面に、また視界がぼやけてくる。


"連絡ありがとう。まだ帰宅中だから、明日学校でください。おやすみ。"

直ぐにきた返事に、複雑な気持ちが増す。

"ちょっと話したい。帰宅したらまた連絡して。"


話したい事…
有り得ないのに少し期待してしまう自分が悲しい。

けれど今日はもう、色々疲れてしまったから、寝てしまった事にしよう…
悪い話だった場合の傷つく覚悟は、もうない。
スマホをカバンにしまい、外の景色をぼんやりと眺めた。



お風呂を済ませ、寝る支度をしていると、ドアを叩く音がして、ビクリと体が跳ねた。


「雫ごめん、俺。起きてたら開けて。」

気を遣ったのか最大限声を張った小声だ。


『悠仁…?』

明日でいいと言ったのに…
目だってまだ少し腫れている。
会いたくないけれど、せっかく来てくれたのに帰すわけにもいかない…
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