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【呪術廻戦】甘く愛される短編集《R18》

第5章 トライアングルのち…【虎杖悠仁&伏黒恵・高専編】



声が聞こえるなり、真顔になって青ざめる雫。

『悠…仁……』

「お疲れ。ナナミン強すぎて、すげー早く終わったよ。釘崎とメシ行こうかと思ったら、今出てるって、ちょうどメッセージきてさ。」

『………』

虎杖を見ず、気まずそうに俺の後ろに隠れる雫。
その表情は先ほどのにこやかな表情とは真逆のものになっていた。

「…お疲れ。俺等も出てくる…またな。」

「あ、じゃあ俺も…」「今日は」


「二人で行く。」


虎杖を真っ直ぐに見つめ、そう言うと雫の手を引いて高専を後にした。




ーーーーーーーーーーーーー

「美味かったな、ラーメン。」

『うん…美味しかった…』


高専を出て街に出てからも、ずっと落ち込んだ様子の雫。気持ちはわからなくはないが、面白くはない。

「これからどうするんだ。」

『え……?』

「普通にできそうか?虎杖と。」

『…頑張るよ。野薔薇にも気を遣わせたくないし…恵もごめんね。さすがに今日の今日はまだ…普通にするのは難しくて…』

苦笑いしながらゆっくりと歩く雫の目に、また涙が溜まり始めた。


「映画でも行くか。」

『え…恵、映画とかあんまりじゃん…』

「お前のそんな顔、1秒だって見てたくないからな。」

好きな奴が、他の男を思いながら泣くのを見る事程、腹が立つものはないと思った。


『ごめん…』

「気にするな。気分転換になるかもしれないしな。
それに……」

『……?』

「デートっぼくもあるだろ。」

『…っ……ふふっ。』

「何だよ。」

『ううん。ありがとう、恵。丁度見たいのがあったんだ。』


映画館の前でチケットを買おうとした雫は、財布の中を探り、しばらくするとカバンの中をガサゴソとし始めた。

「どうした?」

『学生証がなくて………あ。』

何かを思い出したように固まる雫。
すぐに押し黙り、諦めたように大人料金で映画のチケットを購入した。



ーーーーーーーーーーー

「意外に良かったな。」

『ね、ホント……』

「……主人公も最後好きな奴に会えて良かったよな。」

『うん…そうだね…』

「…お前……ちゃんと見てなかっただろ?」

『…え?』

「主人公の好きな奴は死んだろ。適当に相槌打つな。」

『ごめん……』
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