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【呪術廻戦】甘く愛される短編集《R18》

第5章 トライアングルのち…【虎杖悠仁&伏黒恵・高専編】



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side   恵


『……って事があったの。へへ…聞いてくれてありがとう。』

話しながら思い出してしまうのか、時折涙を浮かべる雫の姿に胸が締め付けられた。


「……大変だったな。」

そう言うのがやっとだった。


緊急事態とはいえ、虎杖が雫を抱いた事を聞いて頭を殴られたような衝撃を受け、体が熱くなった。

『涙が出てくるってことはさ…私悠仁の事……
ほんと、自分の気持ちに鈍感すぎて嫌になっちゃう。
これって……失恋のショックの涙だったんだね。』


自嘲しながらゴシゴシと袖口で目尻を拭う雫を、そっと抱きしめた。

『…っ……。』


「泣いていい。今までずっと一人で泣いてきたんだろ。俺が側にいるから…」

『………うん……ありが…とう。』


俺の腕の中でポロポロと涙を流す雫を見つめ、抱きしめる腕の力を強めた。


わかってる。虎杖が雫の事を好きなのは。
けれど自分で考えたのか、誰かに言われたのか、雫から身を引いたんだ。
恐らく宿儺の事が関係しているんだろう。


雫は可哀想だけど…



それは絶対に言わない。

俺が側で支えてやったらいい。
雫の額に、そっと唇を寄せた。


『っ…恵…』

驚いて離れようとする雫の体を離すまいと抱きしめ直す。

「俺じゃダメか?」

『え……?』


「雫を支えたいんだ。」

『…けど私……悠仁が…』

「俺はそれでもいい。雫の心が虎杖に向いていても。ゆっくり俺と向き合ってくれたらいいから…
側にいさせてほしい。」

『っそんなの恵に失礼だよ…できない…』

「俺がそれでいいって言ってるんだからいい。
お前を…一人にしたくない…離したくないんだ。」

『恵………』

「頼む。」

俺を押そうとする雫の腕の力は、徐々に弱まっていった。


『恵………私…ズルくてごめんね…』

蚊の鳴くような声が聞こえ、腕が完全にだらりと降ろされた時、雫を強く抱きしめ、唇を重ねた。

『っ…んっ…』


雫…ズルいのはお前じゃなくて、俺だ。
俺が食い下がればお前が拒否できないのをわかって…こうした。

そうしてでも…お前の側にいたいんだ。
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