第5章 トライアングルのち…【虎杖悠仁&伏黒恵・高専編】
「……教師が生徒同士の性行為を推奨するなんて話ある?おかしいんじゃない?お前。」
お前…ね。高校の時以来だな、その呼び方。
「お前はどうなんだ、五条。なぜ雫に催淫物質をプログラムしなかった?他のあらゆる危険物質は嫌という程馴れさせた癖に。元はといえばそれが原因じゃないのか。」
「話を掏り替えるなよ。なぜ連絡しなかったか聞いてるんだ。」
「どの道間に合わなかったさ。お前は京都にいた。あのままにしていたら自慰を覚えた猿みたいに出血するまで自分でしていたぞ。」
「………」
「やっぱりどう考えてもお前が悪い。お前が雫の側にいられる時ばかりじゃないんだからな。」
はぁ…とため息をつき、ドカリと椅子に座る五条。
「それで?誰が相手したの。」
「虎杖。一緒に任務にあたったからな。私はきちんと言っておいたぞ。虎杖を好きで、雫が求めるわけじゃないって。」
「…割り切れるとは思えない。高校生だよ?体と心が連動しちゃうでしょ。」
「そうだな。大人だってそうだもんな。」
「………」
「…珍しいじゃないか。家出少女を助けただけじゃなかったのか?」
「ふっ…そうだよ。雫は子供だ。だから催淫なんて大人な物質、プログラムしなかった。それだけだよ。」
さてと、と立ち上がって伸びをする五条。
「抜けたか確認してくるか。」
「は?やめろよ、趣味悪いな。」
「何で?愛し合う恋人同士じゃないんだから甘い時間なんて必要ないでしょ。」
五条はそう言うと医務室を出ていった。
「どいつもこいつも…揃って不器用かよ。」
side 五条
悠仁の部屋の側まで行くと、雫が出てくるのが見えた。
「雫。」
『五条先生っ…』
ビクっと跳ねる雫。何?その反応。
「…それ、悠仁の服?」
雫が身につけているダボついたTシャツと短パンを指差す。
『あっ…はい…自分の服はちょっと汚れちゃって…』
膨らむビニール袋を隠すように持ち直す雫。
濡れちゃったもんね。
「…硝子から聞いたよ。大変だったね。」
『…っ……』
タコみたいに顔を赤らめる雫。
ん?何でそんな反応するの?
『悠仁に…迷惑かけちゃいました。』
迷惑じゃないでしょ、全然。