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迷い犬

第2章 後編


それから三月ほどして、カスミは下忍の任を解かれた。下忍として動き、頭も冷えただろうという五代目の判断と、ヤマトの口添えもあってのことだった。

*

「お前の言い分は分かった」

カスミの必死の訴えは五代目に響いたようで、額に片手を当ててしばらく考えた後、五代目はカスミの次の所属先について答えを出した。

「すまないが、元の班はもう他の者に任せている。しばらくは待機になるが、いいな?それまでは私の補佐をやってもらう。細かいことはシズネに聞け」

「は、はい!」

頬を紅潮させて返事をしたカスミを、ヤマトは隣で見ていた。それは一時ほど前のことだった。


今日相談に行くと、幾分緊張した面持ちで声を掛けてきた彼女に付き添って、ヤマトは火影の執務室を訪れた。

カスミは深々と頭を下げ謝罪をし、たどたどしく失態の理由を説明していった。その後に、ヤマトが彼女の今までの働きについてフォローを入れて、嘆願したのだ。

「ヤマト、お前がそこまで言うなら考えないでもない。…まあ、元々しばらくしたら元の所属に戻すつもりではいたがな。カスミの今までの働きについては問題はなかった。しかしだ…今回の件については」

綱手は腕を組んで、カスミを見据えた。

「…あまりに短絡的だった。それで、処罰を与えることにした」

「僕も聞いています」
「理由がどうあれ目立ち過ぎだ。こうでもせんと、他に示しがつかん」

はあ、と綱手は額に手を当てて、溜息をついた。

「…申し訳ありません」

カスミはうなだれて、もう一度頭を下げた。

「三月も経てば、十分頭も冷えただろう?今後、希望の場所に復帰出来るかどうかはお前次第だ。いいな」
「はい」
「まあ、しっかりやりな」
「ありがとうございます!」

最後に二ッと笑って、綱手はカスミを後押しした。そのやりとりを見届けて、ヤマトはカスミと共に執務室を後にした。
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