第2章 後編
妙にご機嫌なカスミと共に店の外に出た。
一応知りたかったことは確認出来たと、ヤマトが一旦カスミと別れようとすると、通りの先に彼女の今の班の少年が現れた。
「あ、いたいた。カスミ!」
「ん?どうしたの?」
駆け寄ってきた少年は、隣にいるヤマトをちらりと見上げた。
「…この人と一緒だったんだ」
「うん。前同じ班だった人なの。ヤマトさんよ」
カスミの紹介に、「よろしく」と一言挨拶する。
「こんちは」
先ほどとは違い、不愛想な挨拶が返ってきてヤマトは眉をひそめた。少年は黙り込み少し考えた後、カスミにぼそっと聞いた。
「もしかして、カスミの彼氏?」
少年の出した結論に、ヤマトは目を丸くした。どこにそんな要素があったのか、否定しようとすると、カスミの言葉で遮られる。
「ふふ。そうじゃないけど…」
「この人、強いの?」
「もちろん!私より強いよ。それに、尊敬出来る人なんだから」
「へぇ…ふーん」
少年は興味なさげにカスミの話を聞いていた。隣にいたヤマトはというと、突然の誉め言葉に唖然として、彼女の横顔を見つめていた。
「それより、何かあった?」
覗き込むカスミに、少年が思い出したように、手に持っていた袋を差し出した。
「あ、そうだ。これ、約束の団子」
「わ、ありがとう!」
カスミは袋を喜んで受け取ると、中身の重さに首を傾げた。
「あれ?これ…何本入ってるの?」
「五本」
「約束は一本だよ。こんなにたくさんいいよ」
戸惑うカスミは袋を少年に返そうとしたが、彼はそれを突っぱねた。
「いいんだよ。俺のおごり!」
「でも…」
「いいから!もらっとけよ」
少し照れたように頬を染めて、少年はぷいと顔を逸らした。そして、何故かヤマトをじろりと睨みつけて、「じゃあな」と去っていった。