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迷い犬

第2章 後編


カスミが美味しそうに団子を頬張るのを見届けてから、ヤマトは皿の上のもう一本の串に手を伸ばした。熱いお茶を半分ほど飲むと、カスミがふと思い出したように、口を開いた。

「テンゾウさん、少し変わりましたね」
「何が?」
「前は動物好きって印象ありませんでしたけど、最近は違うんですか?」

子犬を見つけてすぐ抱き上げたことを、彼女は不思議に思ったようだ。

暗部にいたときのヤマトは、動物は変わり身に使うくらいで、好んで可愛がるようなことはなかったからだ。

口寄せなどを使う仲間たちを始め、それ以外でも猫や犬がいると近づく者が多い中、ヤマトは敵の忍の忍術であることを警戒し近づかず、見かけたとて、そうあやすようなこともなかった。そのことを彼女は知っている。

「…いや、それがね」

返答に困り、ヤマトは結局、最近出会った迷い犬についてカスミに話した。

子犬を預かって、半月ほど自分が世話をしていたこと、つい先日里親が見つかり別れたこと、そして、カスミが変化した子犬にそっくりだったことを。

「そっか。そういうことでしたか…」
「少し恥ずかしいな。まさか君が変化した姿だったなんて、思いもよらなかったからね」

油断もさることながら、見つけた瞬間駆け寄ってしまった自分の姿を思い出して、ヤマトは苦笑した。視線を落として、残ったお茶を飲み干す。
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