第2章 後編
賭場で見つけた一人の男に絞り込み、カスミは情報を聞き出そうとした。二階に個室のある、怪しい飲み屋にその男を誘い込む。
「ねぇ。今日も二人きりで飲みましょうよ」
「もちろんそのつもり出来たのさ。さ、上に上がってしっぽりと過ごそうぜ」
「うふふ。面白いお話があれば、何でも言う通りにするわ」
「そりゃあ、楽しみだ。ヒヒ、取って置きの話を仕入れたんだぜ」
男が舌なめずりをして、カスミを舐め回すように眺める。腰に手を回して、男がすり寄ってくる。嬉しそうに男にしなだれかかり、カスミは耳元で囁いた。
「お楽しみは、お話の後でね…」
そうして、二人は店の二階へと消えていった。
その日得た情報は有力なものだった。色仕掛けで情報を聞き出した後、カスミが姿をくらますため幻術をかけようとすると、隣でだらしなく寝転んでいる男が顔を歪ませて呟いた。
「まったく、木ノ葉隠れの里も落ちぶれたもんだ」
「何?どういうこと?」
乱れた衣服を軽く直しながら、カスミが問いかけると男は続けた。
「今の長は、女だって言うじゃねぇか。しかも、ふらふらと諸国を渡り歩いて、しばらく雲隠れしてたっていう女だと。そんなやつがまともに里をまとめ上げることが出来るのかねぇ」
「…それは、どうかしら。女だってそれだけの力のある人もいると思うけど」
「はは、お前も甘ぇなあ。女なんて、男が絡めば弱いもんじゃねぇか。今の火影さんもそんなもんじゃねぇの」
男はそう言いながら、下卑た笑いを浮かべた。その話を聞くと、カスミは冷ややかな視線を落として、すっと立ち上がった。
そして…。