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迷い犬

第2章 後編


ヤマトはカスミの先導で、団子屋を訪れた。店頭販売の外、店内でも食事が出来る店だ。通りに面した場所にも長椅子が設置してあるが、敢て店内奥の席に向かい合わせで腰を下ろした。

届いた団子とお茶には手を付けずに、カスミはぽつぽつと今の任務について話し出した。

「今私、下忍なんです。さっきいたのは、今年アカデミーを卒業した子で、もう一人の子も同じ。上忍が一人のフォーマンセルの班で…」
「何でまた…。一体どういうことだい?」
「それが…」

困ったように笑って、カスミは続けた。


*


「なるほどね。それで君は、迷い猫探しを請け負ってた訳だ」
「…お恥ずかしい限りです」
「君らしいと言えなくもないけど」

その後の話を聞いて、ヤマトは思わず苦笑した。彼女は何気なく団子の串を手に取り、また皿に置いた。目の前の机には、団子が二本と湯気の上るお茶が入った湯呑みが二つ。二人の間に、しばし沈黙が訪れた。

*

カスミが下忍になった理由。それはひと月ほど前に受けた任務が元だった。

現火影と対立する、重鎮、志村ダンゾウが過去の忍びの遺物を隠し持っているらしいという情報が入り、その隠し場所がいくつか浮上していた。それをカスミを含む、数名の暗部で調査していたときのこと。

カスミは、賭場などが並ぶ歓楽街、短冊街に潜入。怪しげな人物が出入りしている店に変装して忍び込み、度々来る常連客を手玉に取り情報収集をしていたという。
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