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迷い犬

第2章 後編


ヤマトが執務室への通路を進むと、丁度カスミが向かい側から歩いてきた。俯いていたが、気配を感じたのか、彼女はふいとこちらに顔を向けた。

「…テンゾウさん。あ、今はヤマトさんか」
「テンゾウでいいよ。ところでカスミ。任務報告は済んだのかい?」
「はい。先ほど報告を済ませて、解散したところです」
「解散…さっき一緒にいた子かな?」

今所属する班のことかと、ヤマトは問いかけた。その問いにカスミは「ええ」とだけ答え、曖昧に笑った。

「カスミ…少し時間はあるかい?君に聞きたいことがあるんだ」
「私にですか?」
「ああ。君の今の任務についてだよ」

短刀直入に言うと、カスミの瞳が微かに揺れた。長い睫毛を伏せて一瞬考えた後、カスミはヤマトを見上げた。

「もしかして…カカシさんから?」
「いや、先輩からは特に。君が暗部を離れたって聞いて、気になってね」
「そうでしたか…」

カスミはそう呟き、何故かくすりと笑った。

柔らかな微笑みは、先ほど一緒にいた少年に見せたものと同じで、深刻な雰囲気はない。良からぬ事情を想像していたヤマトは、ふっと緊張を緩めた。

「テンゾウさんにも、いずれお話しなきゃって思ってたんです。今日会えて良かった」

カスミは、通路にある気配をゆっくりと確認した。数人の忍が行き来している。

場所を変えましょうかという彼女に合わせて、ヤマトは木ノ葉茶通り商店街へと向かった。
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