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迷い犬

第1章 前編


ヤマトが任務を無事終えて帰宅すると、また子犬が元気に迎えてくれた。ハタハタと健気にしっぽを振る姿に目を細めながら、夕食の準備をする。先日の残りの豚汁を温めて、卵焼きと青菜のお浸しで簡単に済ませた。



ヤマトは居間でくつろぎながら、隣にいる子犬に話しかけた。

「明日は、君を外に連れて行くよ」

頭を撫でてやってから、ヤマトは子犬を両手で抱き上げた。子犬はきょとんとした顔でヤマトを見ている。

「僕の先輩がね。君がどこから来たか、探してくれるってさ」

ふっと笑って顔を寄せると、子犬は不意にぺろりとヤマトの鼻の頭を舐めた。

「はは、くすぐったいよ」

何でもないやり取りだが、ふわりと心は温かくなる。思わずヤマトが頬を緩ませると、子犬がまたヤマトの顔を舐めて軽くしっぽを振った。


そっと床に下ろした後、ヤマトはふと考えた。

(そう言えば…この子犬、捨て犬の可能性が高かったんだったな)

触れた感じではさほど汚れていない。それでも飼い犬のようにはいかないだろう。

(少し洗ってやろうか…)

カカシの元へと連れて行くとなると、当然上忍待機所になる。待機所は、他の上忍たちも多く出入りするところだ。それに、緊急の任務がない場合は、そこで何人かと雑談することもある。

ヤマトが今まで会った上忍たちの中で、動物が苦手だという人物はいなかった。そうは言っても、室内に連れて行くのであれば、清潔な方がいいだろうとヤマトは考えた。
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