第1章 淡い夢
「 ここは、この輪っかに茎を通して、 」
「 ってば、何度作っても全く上達しないね 」
心地良い晴天の下に広がる花畑で、三人の笑い声が響き渡った。
うーん、と首を捻る、彼女は昔から不器用なため、細かな作業がとにかく苦手である。
だけど乙女チックなもので、花冠やら押し花やら、出来ないくせにやりたがるから分からない。
その度に、手先が器用なクラピカとパイロはのわがままに言われるがまま付き合わされていたのである。
「 だって難しいんだもん、茎だって脆くてすぐ折れちゃう 」
「 あはは、これまた凄い作品を生み出したね 」
彼女の両手に持つ花冠は、お世辞にも上手とは言えない出来栄えで、クラピカとパイロはいつものように顔を引きつらし苦笑いをした。
なんで二人と同じように作っているのにこんなにも出来が違うんだろう、と二人の完璧に仕上がった冠と自作の冠を見比べて肩を落とす。
すると突然頭にふたつの冠がのせられ、手に持っていた冠はクラピカによって取り上げられていた。
急なことに目を白黒させるをよそに、クラピカは照れくさそうに言う。
「 俺のあげるよ、交換! 」
それにパイロも「素直じゃないんだから」と笑った。は二人の優しさに涙が出そうになるのを慌てて抑え込んだ。
「 うん、ありがとう!クラピカ!パイロ! 」
そして再び三人の和気あいあいとした笑い声が、晴天の下に轟いた。
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ふと目が覚める。
ああ、まただ、と呟いた。
たまにこうして昔のことを夢に見る。そしてその夜は決まって、言いようのない寂しさに襲われ気が気でなくなった。
今日は、クラピカが居ないって言うのに。
ハンター試験を無事合格した私たちは、目的に一歩でも近づくため、ハンターとなった私たちを雇ってくれる雇い主を探していた。
だがハンター歴0年の私たちはひよっこ以下とみなされ弾かれてしまい、途方に暮れていたところでイズナビというプロハンターが弟子入りさせてくれたのだ。
厳しい修行の中で、私たちは順調に念を覚えていくことができた。だがまだ未熟だったためか、念の出し過ぎにより私は体調を崩してしまったのだ。そして今、病院に5日ほど入院する羽目となったのだった。