第2章 大好き!(イルミ)
『いらっしゃいませー!あ、こんにちは!』
「や、空いてる?」
『はい、どうぞ!』
私がバイトしているカフェの常連さん。
いつも決まって窓際の2名席に座る。
名前はイルミさん。有名な暗殺一家の長男だとか。
「あ、シンシアちゃん。こんにちは!」
『いらっしゃいませ、ティアさん。いつもありがとうございます!』
ティアさんはイルミさんの彼女。とっても優しくてかわいい人で、まさにお似合いな2人。
そんな素敵な彼女がいるイルミさんに恋をしている私。
叶うわけないって自分でもわかってるけど…なかなか諦められないから困ってる。
「シンシア、いつものね」
「私もいつものでお願いね。」
『はいっ!ご注文ありがとうございまーす!』
「今日も元気だね、シンシア」
「本当ね。見てて気持ちいいわ。」
あ、イルミさんすごく穏やかな顔してる。ほんと仲良しだなぁもう!
っと、ぼーっとしてる場合じゃないや。オーダー作らなきゃね。
イルミさんはコーヒーにミルク1つ、ティアさんはミルクティー。ほぼ毎日来てくれて同じ注文なんだよね。
初めてイルミさんと会ったのは2ヶ月前だった。
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『いらっしゃいませー』
うわ!すっごい綺麗な人きたよ!
黒髪さらさらストレート!いいなーうらやましい…
ん?あれ、でも男の人だよね…細いけど背高いし、それなりに筋肉も…
ていうか無 表 情 !
なにこの人こわいんですけど!!
注文取りに行きたくないんですけど!?
…
……
………。
注文しないのかな?
…はっ!もしかして待ってる!?あわわわわ…私としたことが!
『しっ、つれいします!ご注文は?』
声裏返った!恥ずかしーーー!!
…うわぁお目目真っ黒、色白でお人形さんみたい。
とか呑気に見惚れていたら、彼にじっと見つめられていることに気づいた。
『あ、の…?』
「…コーヒーね。あ、ミルク1つ付けて?」
『は、はい!ご注文ありがとうございますっ!!』
…でっかい声出たな私。