第4章 愛と情は紙一重(イルミ)★
後処理をして気怠い身体をなんとか動かしてベッドに潜り込むと、イルミも隣に入ってきてふわっと抱き寄せてくれた。
「…シンシア、ごめん」
『また謝ってる。どうして謝るの?』
「嫌じゃなかったの?」
なぜ彼は私が嫌だと思ってると思ったのか。
少なくとも私はこういう仕事をしていて、しかも好きでやっている。
理由はお金だとしても、誇りを持って仕事をしていたし嫌だと思ったことはなかった。
『嫌じゃないよ。急で驚いたけど嫌だとは思わなかったよ?』
「……ヒソカ」
『え?』
ヒソカ?今ヒソカって言った?何で彼の名前を知ってるの?
ヒソカは私のリピーターでイルミの予約でいっぱいになる前は、かなりの頻度で予約を入れてもらっていた。
「その様子じゃ本当なんだね」
『??どういう…』
「ヒソカとも会ってるでしょ」
“会ってる“と言われると違和感を感じるが、お客様なので間違ってはいないため頷く。
「はぁ…やっぱりそうか」
『イルミはヒソカを知ってるの?』
「…仕事仲間」
『あーなるほど…』
でも、だからってイルミのさっきまでの行動に繋がる理由がわからない。
すると、私を抱き締めるイルミの腕が強くなった。
『イルミ?ちょっと、苦し…』
「…ヒソカともこういうことしてるんでしょ?」
『こういうこと?』
「セックス」
…それが仕事だから。ヒソカはそれ目的で予約を入れている。それ以上でもそれ以下でもない。
「オレがこの先ずっとシンシアに予約入れれば、もうヒソカとは会わない?他の男とも」
『それは、まぁ…』
「でも、オレが仕事で予約を入れられないときは他の予約受けるよね?」
んん?何だろう?何が言いたんだろう?仕事だからそれはそうだよね。イルミの予約が入らなければ他の予約を受けるのは当然のことなのでこれも頷く。
すると、身体を離してシンシアの顔を覗き込むイルミ。
その顔は少しだけ悲しそうに見えた。
「ねぇ、もうこの仕事やめなよ」
『えっ!?』
「お金はもう十分でしょ?」
確かに、イルミが余分にくれるおかげでかなり余裕ができていた。