第5章 眠れる森の…
お昼前の体育の授業が終わり教室に戻った桐山。
クラスメイトの会話を聞き、慌てて教室を飛び出した。
軽く息を切らしてたどり着いたのは保健室。
深呼吸をしてからゆっくりと扉を開ける。
保健医の姿は見えず、ベッドのカーテンが閉まっていた。
「さん…?貧血で倒れたって…」
遠慮がちにカーテンの中を覗くと、が眠っていた。
「大丈夫…?」
小声で声をかけるも反応はなく、規則正しく布団が小さく上下している。
「寝てる…?」
の顔をじっと見つめる桐山。
「…さん…」
そう囁くと、桐山は手を伸ばしの頬に触れた。
吸い付くような滑らかな感触の肌は、どこか冷たく感じられる。
「きれいだな…」
指先が唇に触れた時、が小さく身じろぐ。
「ん…」
我に返った桐山は、慌てて手を引っ込める。
思わず両手を挙げ、の顔を凝視する。
「…寝てる…?」
安堵のため息をつくと、足元に椅子を置いて腰を下ろす。
「早く、目を覚まして…」
桐山はの手を握ると、そっと囁いた。