第15章 アサヒの決断
「誰かと思ったら……おぼっちゃまがこんなところで夜遊びですか」
皮肉なんてどうでもいい。
「そのコウモリを離せ」
僕は言った。
しかし、男子たちはゲラゲラと笑った。
「昼間の落とし前をコイツで払ってもらわねぇとなぁ?」
「そのコウモリは関係ない!」僕は言い返した。「やるなら僕にしろ!」
すると彼らはまたゲラゲラと笑い出した。それからぼんじゅうるをようやく離し、僕に近づいてきた。
「待て!」
僕は自分が殴られることは構いはしなかったのだが、それより横に広がる火を何とかしなくては。僕はそれも気がかりだった。
「この後に及んで逃げる気かよ!」
「うっ……!」
そこまで近づいてきた男子に真っ先に胸の真ん中辺りを殴られた。一瞬苦しくなり、それから痛みに悶えて足元がふらつく。
僕は林にみるみる内に広がる炎を見つめながら必死に考えた。まずは火を消さないと……そうだ、消防署に連絡を。スマホ、スマホを……。
直後、バサバサと鋭い羽ばたき音が聞こえた。
次にはギィギィと聞き覚えのある鳴き声が飛び交い、僕は倒れる寸前に誰かに体を支えられた。
「おい、なんだこれは!」
「またコウモリかよ?!」
そう口々に悪態をついて手を振り回すのはあの男子たち。そこには二羽のコウモリが飛び回り男子たちを錯乱させている。おんりーとおらふくんだ。
「ギルル……?」
そして僕の真下では体を支えてくれたMENがいる。みんな、助けに来てくれたのだ。