第12章 アサヒ目線5
そうしてコウモリたちに居場所を提供された僕は一晩をこの洞窟で過ごすことにした。
明日は学校が休みだから、少しくらい一人と五羽のコウモリと一緒に考えてもいいだろうという優秀な生徒と言われていた僕が初めて大人の言いつけを破った日でもあった。
やがてどんどんと夜も深まってきた頃、いつの間にか外に出ていたドズルが何か葉っぱを持って来て僕の膝の上に置いた。それは、学校の放課後であの男子たちに殴られた時に出来た足の擦り傷に乗せられていた。
「気付かなかった……これ、薬草なの?」
ドズルに気にかけてもらってようやく膝の傷が少し痛んだ。僕が問いかけると、ドズルはギィ〜と返事をする。
「ありがとう」
僕はドズルにお礼を言って薬草だろう葉っぱを傷に巻き付けた。洞窟を張っていたツタを使って薬草をあてがったのだ。
それからふとそこに伏せるような体勢で休んでいるぼんじゅうるへ目を向ける。あの日ぼんじゅうるを助けたみたいに、やっぱり僕は、MOB医になりたいなと思う。
けど、そうなると、僕はこのコウモリたちにしばらくお別れしなくてはいけない。さっきから同じことを考えては頭を悩ませてはため息をつき、僕はとうとうその場で寝転がった。僕のお腹の上に、おらふくんが飛び乗った。
無邪気そうなおらふくんの頭を撫でながら、このコウモリを見ているとなんだか癒されるなぁと思っていると、洞窟の一番外側にいただろうおんりーがけたたましい声をあげた。
「ギィイイイイイ!!」
僕は飛び上がった。同時に、他の四羽もバタバタと飛び回った。
外側から、明らかにこちらに近づいてくるような足音が聞こえたのだ。次には、声も聞こえてきた。
「お〜い、アサヒ〜!」
僕はぎょっとした。その声は、聞いたことのあるものだったからだ。