第10章 アサヒ目線3
「え……」
僕は一瞬、何が起きたか分からなかった。
「ギィギィ!」
ただ、目の前にいた男子が、大きなコウモリに襲われていることだけが分かった。
「うお、なんだ、この鳥!」
「鳥にしてはデカすぎだろ!」
「待てよ、なんでこんなところにコウモリが?!」
「しかも進化系だ!」
見た目が気味悪いだの怖いだのやばいだの叫び散らし、男子たちは怯えたようにそこから立ち去って行った。
僕はしばらくその場で尻もちをついたままだったが、男子たちがいなくなった後、くるりとこちらを向いたコウモリが、一鳴きギィと鳴いた。
「助けて、くれたのか……?」
僕がそう聞いてもコウモリはギィと返事をするだけだ。
どうして、という疑問はなかった。僕はこのコウモリのことをよく知っていたから。
両手を伸ばしてその変なヘルメットをそっと外せば、よく知ったコウモリの顔が見えて僕は呟いた。
「MEN……!」
僕は助けてくれたMENコウモリに抱きついた。MENはびっくりしたけど、暴れなかったので少しの間その体温を感じていた。