第7章 MENコウモリ目線
おらふくんが、度々ここにやってくる人間をもっと知りたいと言ってきた。
いずれ言ってくるだろうと思っていた俺は、ここのところずっと開発していたヘルメットを被る。これは、明るい昼間に弱い俺たちコウモリの視力を助ける機能を搭載した人間追跡ヘルメットだ。
つまりあの人間に、発信機をこっそり付けて置いたのだ。その発信を受け取る機械がこのヘルメットって訳。
人間って誰のことかって? そこにいるぼんさんを助けたお人好しな人間のことだ。コウモリを助ける人間の話なんて聞いたことはないが、俺たちを攻撃してくる様子もないから住処に入ることを許している。
まぁ、もし攻撃したら俺の隠し持っているハッピーTNTが火を噴いてやり返すつもりだが。
さて、そんな余計なことは考えないで俺は洞窟を飛び出した。他のみんなと違って、なぜか俺だけ進化して体が大きいから目立つのが難点だ。
それでも俺は知っていた。林を抜けてすぐに広がる人間の世界も、夜は比較的静かだ。夜の帝王である俺たちの敵ではない。