第6章 おらふくんコウモリ目線
やっぱり、こっちの言葉が通じていないみたい。
人間さんのやってくれるブラッシングは気持ちいいからいいんやけど。けどやっぱり、こんなに仲良くなったんやから、お話してみたいなと思う。
それに、人間さんは暗くなると僕らの住処を出てどこかに行く。夜は僕らの時間やから、人間さんともっと遊べるのに、いつもどこに行っているんやろ。
そんなことを考えている内に、ドズルさんは体を鍛えにどこか行くし、ぼんさんはずっとゴロゴロしている。おんりーはいつの間にか外に出てて食料探しに行ってるし、僕の話相手はいつもそこで何かをしているMENだけやった。
「ねぇねぇ、MEN」
「なんだ?」
MENは話し掛けると何かしているのを止めて僕の方を見る。僕はさっきの疑問を質問してみた。
「あの人間さん、いつもどこで何してるんやろ? どうして僕たちと一緒に暮らさないんやろ」
「それは、俺たちがコウモリで、向こうが人間だからだろ」
「けどさぁ……」
もっと納得する何かが欲しかった。もし人間さんが夜の内に食料探ししているんやら、諦めることも出来るんやけど。
「じゃあ、ちょっとついて行って確認してくるか」
とMENが言った。僕は驚いた。
「でも、林の外は人間の住処だらけよ? ついて行って大丈夫なん?」
「まぁ、なんとかなるだろ」MENは頭に何かを被った。「進化した夜の帝王の俺ならな」
「夜のテイオー?」
「そういうことだから、しばらく帰ってこないわ。じゃあな」
「えっ」
そう言ってMENは洞窟を飛び出した。確かにMENは特別なコウモリで、僕らとは違って大きな体に進化はしているんやけど。
僕がついて行こうか悩んでいると、そこにいたぼんさんが話しかけて来た。
「珍しいな。MENが洞窟に出て行くなんて」
「実は、ぼんさん……」
僕はぼんさんに、MENがあの人間の様子を見に行ったんだと伝えた。
「はははっ、MENが? 大丈夫でしょ」
「けど……」
そうぼんさんは言ったけど僕は心配だった。だから僕もMENについて行こうとしたんやけど、結局迷子になってしまって、ドズルさんとおんりーと一緒に洞窟に戻ってきた。
……MENは、帰って来ていなかった。