第2章 想い出 / 七海 建人
『七海さん。1度だけ私を抱いてもらえませんか。』
、、、、、、彼女は何を言っているのでしょう。
顔を真っ赤にしてこちらを見ている花咲さんは同じ呪術師であり、1つ下の後輩でもある。
「、、、、頭でもぶつけましたか?」
『ち!違いますよ!!』
「では、なぜ。」
『いつ死ぬか分からない世界で憧れの七海さんに1度でもいいから抱かれたら後悔ないな、、という、、』
「抱かれたら死んでもいいという風に聞こえますが。」
『、、、、、、、、。』
「申し訳ありませんが他を当たってください。」
スタスタと花咲さんに背を向け歩き出す。彼女は私の気持ちなんて分からずに言っているのでしょうね。
1,2年前に脱サラして呪術師として復帰する事になり、初めましての呪術師が多い中一際目を引いたのが彼女だった。
スタイルも良く、括った髪は手入れがされていて綺麗で、でもどこか闇を抱えてそうなそんな危うさに目が離せなかった。
それから任務を一緒に遂行する様になり、彼女の人柄や優しさに触れ私の気持ちは明らかだった。
、、、、、、それであの殺し文句、、。
でも、あの言葉に流されて花咲さんを抱くのは違う気がする。
後に分かった事だが、花咲さんはファンクラブができるほどの人気らしい。
よく色んな人に話しかけられている。
「あ、凛さん!今度ご飯とかどうですか?」
『ごめん、最近忙しいから行けそうにないかな、、』
ほら、言ったそばから。
「その忙しいの終わってからでいいです!だから今度!お願いします!」
『、、、、、、じゃあ、今度ね。』
「え!じゃあ俺も!!」
通りかかった別の男も便乗し、食事の予定を取り付けていた。
「てか、凛さんって彼氏とかいるんですか?」
『いないよ』
「じゃあ俺立候補しまーす!」
「俺も俺も!!」
「てか、凛さんって夜の方エロそうっすよね!」
『、、はい?何言ってるの?』
「うわぁ、、想像しただけで勃ってきたわ、、」
『え、ちょっ、、』
下賎な奴らが。
スタスタと彼らに近寄って、
「花咲さん今度の任務で相談が。」
花咲さんの手首を掴めば細くて折れてしまいそうだった。
『あ、はい!七海さん!』