第1章 本編
居候して、二週間が経とうとしていた。
「俺は、これから、どう生きたらいいんだ
って、悩んでいても、仕方ないことか…
ただただ、時間が流れていくだけ…」
「どうかしちゃったの?龍馬くん?」
「いや、独り言だ、気を悪くさせちゃったな」
「ううん、龍馬くんって、昔から、
抱え込みがちだから、わかるよ、そういうこと」
「そうか、俺も、まだまだだな」
「龍馬くんって、テニスやっていたよね?
その話が、聞きたいな」
「前にも、話していただろ?」
「まぁ、そうだけど、興味がない訳じゃないけどね…」
「素直な奴だな…いいぜ、テニスのことだな、
さて、穂波に、まだ、言っていないことは…
先輩の話だな」
「龍馬くんって、中学の時、
アメリカに住んでいたよね?」
「一応そうだ、イジメに遭いそうになったけど、
それも、テニスのおかげで、遭わなくなった」
「じゃあ、龍馬くんの、中学時代の、
チームメイトや、部活の仲間は?」
「そう言えば、いたな…
最も印象に残っているのは、あの人だな…」
「あの人?」
「俺の宿敵のゾーンを打ち破ることができなかったのが、
心残りだったかも、しれねーな」
「ゾーン?」
「その場を、全く動くことなく、
相手の球を、打ち返し続ける技だ」
「そんな事が、出来るの?」
「出来てしまうのが、アイツだったんだよ
世界的に活躍するスター選手といっても、
まだまだなんだ。
なにしろ、天才って、呼ばれている
先輩もいたからな、あの人の繰り出す、カウンター技
笑顔の裏で、何考えているか、わかんねー
実に、らしいもの、ばかりだったぜ
そうだ、何考えているのか、わかんねーと言えば、
アイツがいたな
何考えて、あのドリンクを作っていたのか、
飲まされた時、死にそうだったぜ」
「死ぬような…ドリンク!?」
「アイツが言うには、ただの、ジュースだが、
味も色も、明らかに、ヤバいんだよ」
「龍馬くんの中学時代の、人って、
個性的ばかりなんだね」
「よく言うぜ、にしても、
本当に、退屈する暇もなかったくらいだ
中学の時はな…だが、無実の罪を背負って、
通信制高校に通っていて、
挙句の果てには、穂波の家に、居候している
滅茶苦茶だな…俺の人生」
「でも、それは、それで、波乱に満ちている気がする」
「よく言うぜ、俺も、まだまだだな…」
